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年末調整2026(令和8年分)の変更点ガイド——基礎控除は自動で戻るが、「書かないと受けられない控除」が3つある

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年末調整2026(令和8年分)のポイントは、変更点を「自動で戻る分」と「書かないと受けられない分」に分けて見ることだ。基礎控除の引き上げ(最大104万円)は12月の年末調整でまとめて精算されるため、対象者なら何もしなくても反映される。一方、特定親族特別控除・扶養親族の枠拡大・生命保険料控除の子育て特例の3つは、申告書に書いた人しか受けられない。この記事では、国税庁の一次情報をもとに、自分がどれに該当するかを5分で確認できるチェックリストと、手取りがいくら変わるかの目安を渡す。

秋の夜、ダイニングテーブルで年末調整の申告書に記入する手元の水彩イラスト。書類の1つの記入欄が温かく光り、背景の椅子には大学生のリュックと本が置かれている

本記事は2026年8月17日時点で国税庁が公表している情報に基づく。年末調整の書類を実際に記入する際は、国税庁の年末調整情報ページで最新の様式と記載例を確認してほしい。

令和8年分の年末調整は何が変わるのか

令和8年分(2026年分)の年末調整には、令和8年度税制改正による所得税の変更が初めて反映される。国税庁は「令和8年12月に行う年末調整など、令和8年12月以後の源泉徴収事務に変更が生じます(令和8年11月までの源泉徴収事務に変更は生じません。)」と案内している。つまり、毎月の給与からの天引きは11月まで従来どおりで、12月にまとめて差額が精算される。

変更点の全体像を「自動で戻る分」と「書かないと受けられない分」に分けると、次のようになる。

変更点内容手続き
基礎控除の引き上げ合計所得489万円以下は104万円に(改正前95万円等)自動で精算 (基礎控除申告書の提出は例年どおり必要)
給与所得控除の引き上げ最低保障額が74万円に自動で精算
特定親族特別控除19〜22歳の子などの収入が扶養の枠を超えても最大63万円申告書に書いた人だけ
扶養親族の所得要件緩和給与収入136万円以下まで扶養控除の対象に申告書に書いた人だけ
生命保険料控除の子育て特例23歳未満の扶養親族がいる人は新生命保険料の上限6万円に申告書に書いた人だけ

下3つが、この記事の主役である「書かないと受けられない控除」だ。年末調整の書類は例年10〜11月に配られるが、記入欄を空欄のまま出せば、会社が代わりに拾ってくれることはない。

基礎控除104万円とは——「自動で戻る分」の仕組み

基礎控除とは、所得のあるすべての人が所得から差し引ける控除で、令和8年度税制改正により令和8・9年分は次の額に引き上げられた。

本人の合計所得金額(給与収入のみの場合の目安)基礎控除額
489万円以下(給与収入 約665万円以下)104万円
489万円超 655万円以下(給与収入 約850万円以下)67万円
655万円超 2,350万円以下62万円

(合計所得2,350万円超は48万円から段階的に縮小し、2,500万円超で0円になる)

給与所得控除の最低保障額も74万円に引き上げられた。基礎控除104万円と合わせると、給与収入178万円までは所得税がかからない計算になる(いわゆる「178万円の壁」)。

会社員にとって重要なのは、この引き上げ分が11月までの毎月の天引きには反映されていない点だ。12月の年末調整で、引き上げ後の控除額で計算し直した年税額と、天引き済みの税額との差額が精算される。このため、令和8年12月の給与では例年より還付が大きくなりやすい。ここは書類を例年どおり出せば自動で反映される。損得が分かれるのは、ここから先の「書かないと受けられない」3つだ。

特定親族特別控除——子のバイト年収159万円までは控除63万円のまま

特定親族特別控除は、19歳以上23歳未満の子など(配偶者を除く生計を一にする親族)の収入が扶養控除の枠を超えても、親の側が段階的に控除を受けられる制度だ。令和7年分から始まった制度で、令和8年分では扶養控除の所得要件拡大に合わせて、対象範囲が「合計所得金額62万円超123万円以下」(給与収入136万円超197万円以下)へスライドした。

「大学生の子のバイト代が103万円を超えたら扶養から外れて親の税金が跳ね上がる」という従来の常識は、もう成り立たない。令和8年分では、子の給与収入136万円以下なら従来どおり扶養控除(特定扶養親族63万円)の対象になり、136万円を超えても197万円以下までは特定親族特別控除が受けられる。控除額は子の収入に応じて次のように変わる。

子の合計所得金額給与収入のみの場合の目安親の控除額
62万円超 85万円以下136万円超 159万円以下63万円
85万円超 95万円以下169万円以下61万〜51万円
95万円超 105万円以下179万円以下41万〜31万円
105万円超 115万円以下189万円以下21万〜11万円
115万円超 123万円以下197万円以下6万〜3万円

(給与収入の目安は、令和8年分の給与所得控除74万円を前提に本記事で換算した値)

子のアルバイト年収と親の控除額の関係を示す階段グラフ。年収136万円までは扶養控除63万円、159万円までは特定親族特別控除63万円の満額、その後は61万・51万・41万・31万・21万・11万・6万・3万円と9段階で縮小し、197万円超で対象外になる
子の給与収入が159万円までは親の控除額は63万円のまま変わらず、159万円を超えると197万円まで9段階の階段状に縮小する(一気にゼロにはならない)

注目すべきは1行目だ。子のバイト年収が159万円までなら、親の控除額は扶養控除と同じ63万円で変わらない。子ども自身も、給与収入178万円までは所得税がかからない。「103万円」「130万円」を意識してバイトのシフトを減らしてきた家庭にとって、税制上の景色は大きく変わった。

ただし、この控除は年末調整で「給与所得者の特定親族特別控除申告書」(基礎控除申告書などとの兼用様式)に記入した人しか受けられない。過去に「子の収入が枠を超えたから」と扶養の欄から外した経験のある人ほど、記入欄を素通りしやすい。子の年間収入見込みを確認したうえで、必ず記入したい。

社会保険の扶養・加入の基準は、税とは別の制度で今回の税制改正では変わらない。「106万円の壁」(社会保険加入の賃金要件)は2025年成立の年金制度改正法で撤廃されることが決まっているが、週20時間以上などの加入要件や「130万円の壁」(被扶養者認定)は残る。子や配偶者の働き方を変える前に、勤務先の健康保険の扶養基準を必ず確認してほしい。

扶養控除の枠はどこまで広がったのか——給与収入136万円まで

扶養親族の所得要件は、令和7年分に48万円から58万円へ、令和8年分にはさらに62万円以下(給与収入136万円以下)へと2年連続で引き上げられた。「年収103万円以下」の記憶のまま止まっている人にとって、扶養控除の対象範囲は33万円分広がったことになる。

見直したいのは、たとえば次のようなケースだ。

  • 高校生や大学生の子のバイト収入が110万〜136万円程度あり、以前に扶養控除の対象から外した
  • 同居する親のパート収入が103万円を少し超えるため、扶養に入れることをあきらめていた
  • 家族の収入が増えたタイミングで扶養控除等申告書から名前を消し、それきり見直していない

一度申告書から外した家族は、要件を満たすようになっても自動では戻らない。今年の扶養控除等申告書では、家族の年間収入見込みを改めて確認して記入し直す必要がある。

タイミングにも注意がいる。令和8年度税制改正の施行日は令和8年12月1日のため、10〜11月に配られる書類を提出した後で「改正後の要件なら該当する」とわかるケースがあり得る。国税庁のQ&Aは、この場合に「令和8年12月1日 改正」と記載した扶養控除等申告書を再提出する方法を示している。提出済みでも締め切りまでなら修正できるので、あきらめずに給与担当者へ相談したい。

生命保険料控除の子育て特例とは——令和8年分から上限6万円

23歳未満の扶養親族がいる人は、令和8年分から、新制度(平成24年以後の契約)の一般生命保険料の控除上限が4万円から6万円に引き上げられる。年間の支払保険料が12万円を超えていれば満額の6万円が控除できる。子どもの年齢が0歳でも、扶養親族の要件を満たしていれば対象になる。

注意点は2つある。第一に、一般・介護医療・個人年金を合わせた生命保険料控除全体の上限12万円は変わらないため、すでに3枠で12万円に達している人は増えない。第二に、この特例は当初「令和8年分限り」として導入され、令和8年度税制改正で令和9年分まで延長された。令和10年分以降の扱いは今後の改正次第で、恒久の制度ではない。

対象になりそうな人は、保険会社から10月ごろに届く控除証明書を確認したうえで、保険料控除申告書の該当欄に記入する。例年「どうせ上限だから」と機械的に写している人ほど、上限が変わった今年は書き方の差が金額の差になる。

自分は該当するか——5分でできるチェックリスト

年末調整の書類を書く前に、次の5問を確認すれば「書かないと損する控除」の該当がひととおり判定できる。

  1. 19〜22歳の子(または生計を一にする親族)がいるか? → いる場合、その子の年間給与収入見込みを確認。136万円以下なら扶養控除の欄へ、136万円超197万円以下なら特定親族特別控除申告書へ記入する
  2. 家族に年収103万〜136万円の人がいないか? → 16歳以上の子や親などで給与収入136万円以下なら、扶養控除等申告書に(再)記入できる
  3. 23歳未満の子がいて、新制度の生命保険に入っているか? → 保険料控除申告書で一般生命保険料の控除上限が6万円になる(支払保険料12万円超で満額)
  4. 過去に「収入が超えたから」と扶養から外した家族はいないか? → 今年の要件(136万円)で判定し直す
  5. 書類提出後に家族の収入見込みが変わっていないか? → 12月1日の施行日以後に該当へ変わった場合は「令和8年12月1日 改正」と記載して再提出できる

1つも該当しなければ、今年の変更点は「自動で戻る分」だけなので、例年どおり書類を提出すればよい。

手取りはいくら変わるのか——ケース別の目安

「書かないと受けられない控除」を申告した場合の税負担の軽減額は、控除額に本人の税率を掛けた金額が目安になる。特定親族特別控除を満額(63万円)受けるケースでは、次のような規模感だ。

本人の所得税率所得税の軽減(63万円 × 税率)住民税の軽減(45万円 × 10%)合計の目安
5%約3.2万円約4.5万円約7.7万円/年
10%約6.3万円約4.5万円約10.8万円/年
20%約12.6万円約4.5万円約17.1万円/年

(住民税の特定親族特別控除は最大45万円で、令和8年分の所得に対しては令和9年度の住民税に反映される。復興特別所得税分は含まない概算)

扶養控除(38万円または63万円)の記入漏れを1件拾えば、同様に年数万円規模の差になる。生命保険料控除の特例は上乗せ最大2万円 × 税率なので数千円規模だが、申告書に1行書くだけの手間で受けられる。

書き忘れても打つ手はある。還付申告書は対象年の翌年1月1日から5年間提出できると国税庁は案内しており、確定申告で後から取り戻せる。ただし申告の手間を考えれば、年末調整の1枚で済ませるのが合理的だ。戻ってきたお金の置き場所を考えるなら、新NISAの口座開設ガイドや、2027年に始まるこどもNISAの完全ガイドも参考になる。

この記事のまとめ

  • 令和8年分の年末調整は「自動で戻る分」と「書かないと受けられない分」の2層構造。基礎控除104万円への引き上げは12月にまとめて精算され、還付が例年より大きくなりやすい
  • 特定親族特別控除は19〜22歳の子の収入が給与収入197万円以下まで対象。159万円までなら控除額63万円で変わらず、「103万円の壁」の常識は成り立たない
  • 扶養親族の所得要件は給与収入136万円以下まで拡大。過去に扶養から外した家族がいる人は判定し直す
  • 23歳未満の子がいる人は、令和8年分から生命保険料控除(新制度・一般)の上限が6万円に(令和9年分まで延長済み)
  • 税制上の枠が広がっても、社会保険の扶養・加入基準は別制度のまま。「106万円の壁」(賃金要件)は撤廃が決まっているが「130万円の壁」(被扶養者認定)は残るため、働き方を変える前に勤務先の健康保険の基準を確認する
  • 書き忘れは還付申告(翌年1月1日から5年間)で取り戻せるが、年末調整の1枚で済ませるのが確実

よくある質問

Q: 大学生の子のアルバイト年収が103万円を超えたら、親の税金は一気に増えますか?

A: いいえ。令和8年分では、子(19〜22歳)の給与収入が136万円以下なら扶養控除(特定扶養親族63万円)、136万円を超えても197万円以下までは特定親族特別控除が段階的に適用されます。収入159万円までは控除額63万円で変わりません。ただし社会保険の扶養は税とは別の基準で判定されます。

Q: 令和8年分の年末調整に定額減税はありますか?

A: ありません。定額減税は令和6年分限りの措置でした。令和8年分では、基礎控除の引き上げ分が11月までの源泉徴収に反映されておらず、12月の年末調整でまとめて精算されるため、例年より12月の還付額が大きくなりやすい構造です。

Q: 年末調整で控除を書き忘れた場合はどうなりますか?

A: 自分で確定申告(還付申告)をすれば取り戻せます。還付申告書は対象年の翌年1月1日から5年間提出できます。勤務先によっては翌年1月末までの再年末調整で対応できる場合もあるため、まず給与担当者に相談してください。

Q: 11月に年末調整の書類を提出した後で、家族の年収見込みが変わった場合はどうすればよいですか?

A: 改正後の要件に新たに該当することがわかった場合は、「令和8年12月1日 改正」と記載した扶養控除等申告書を再提出する方法が国税庁のQ&Aで示されています。勤務先の処理に間に合わない場合は、確定申告で控除を受けられます。

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参照元

出典URL確認日
国税庁「令和8年度税制改正による所得税の基礎控除の引上げ等について」(施行日・年末調整での適用)公式サイト2026年8月17日
国税庁「令和8年4月 源泉所得税の改正のあらまし」(基礎控除額・給与所得控除・特定親族特別控除の所得要件・生命保険料控除の子育て特例の令和9年分への延長)PDF2026年8月17日
国税庁「令和8年度税制改正(基礎控除の引上げ等関係)Q&A」(年末調整の精算・「令和8年12月1日 改正」記載の再提出)PDF2026年8月17日
国税庁 タックスアンサー No.1177「特定親族特別控除」(対象要件・控除額の段階表 ※同ページは令和7年4月1日現在法令。令和8年分の所得区分は上記「改正のあらまし」を参照)公式サイト2026年8月17日
国税庁「給与所得者の基礎控除申告書兼給与所得者の配偶者控除等申告書兼給与所得者の特定親族特別控除申告書兼所得金額調整控除申告書」(申告書様式)公式サイト2026年8月17日
国税庁 タックスアンサー No.2030「還付申告」(還付申告は翌年1月1日から5年間)公式サイト2026年8月17日
名古屋市「令和8年度以降適用される市民税・県民税に関する主な税制改正」(住民税の特定親族特別控除 最大45万円)公式サイト2026年8月17日
厚生労働省「年金制度改正法が成立しました」(社会保険の加入対象の拡大・2025年6月成立)公式サイト2026年8月17日
安田亮公認会計士・税理士事務所「【令和8年分から】生命保険料控除の特例がスタート」(子育て特例の内容・令和9年分への延長 ※根拠法令: 租税特別措置法41条の15の5)解説記事2026年8月17日
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